102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.537
「レム睡眠」の健康効果とは?
◇クイズで学ぶレム睡眠
【問題】
睡眠は、大きく「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」に分けられます。
最近ではレム睡眠に関する研究も進んできました。
では、レム睡眠について、正しい記述は以下のどれでしょうか?
•(1)通常の夜の睡眠では、レム睡眠の後に、ノンレム睡眠が出現する
•(2)レム睡眠中は手足や体幹の筋肉が完全に脱力する
•(3)レム睡眠は、大きな波のような脳波が表れるので「徐波(じょは)睡眠」とも呼ばれる
解説
睡眠は大きく、レム睡眠とノンレム睡眠とに分けられます。
レム睡眠の「レム(REM)」とは「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」の略で、まぶたの下で目がくるくると動いていることから名付けられました。
通常の夜の睡眠では、深いノンレム睡眠を経過した後に、レム睡眠が出現し、朝方になるにしたがってレム睡眠の持続が長くなります。
若い健康な人では睡眠全体の約20%をレム睡眠が占めるのが普通です。
レム睡眠のとき、夢を見ていることをご存じの方も多いでしょう。
レム睡眠中に見る夢のほとんどは忘れてしまいますが、目が覚めたあとも覚えている夢はネガティブで気分が悪いものが多い、という調査結果もあるそうです。
睡眠研究の世界的権威である筑波大学の柳沢正史教授は、こう解説します。
「ネガティブな悪夢も含めて、夢を見るのは悪いことではないのです。夢の機能として、覚醒中に起きるかもしれないストレスフルな状況を予行演習することで、ストレスに対する耐性を作っているという説もあります。PTSD(心的外傷後ストレス障害)の患者さんでは、よく夢を見るほうが回復が早いというデータもあります」と。
一方、ノンレム睡眠は、脳波の特徴によってN1、N2、N3のように3段階に分けられます。
一番下の段階はN3で、ゆっくりした大きな波のような脳波の形から「徐波(じょは)睡眠」とも呼ばれます。
夢を見ているということは、大脳が働いているということ。
そしてレム睡眠は“浅い睡眠”と思われることも多いのですが、それは大間違いです。
レム睡眠では、脳がしっかりと外界から切り離されているので、“浅い睡眠”とは言えないのです。
例えば、どれだけの音量の音で目が覚めるか実験すると、レム睡眠はノンレム睡眠の「N2~N3」並みです。
また、レム睡眠中は手足や体幹の筋肉が完全に脱力します。
けれども、大脳皮質の一部、視覚野などは動いていて夢を見るという不思議な状態だとされてます。
睡眠時間は同じでも、レム睡眠の割合が少ない人は寿命が短く、認知症になりやすいことも報告されています。
健康のためには、レム睡眠をしっかりとることも大切だといえそうです。
正解は(2)レム睡眠中は手足や体幹の筋肉が完全に脱力する です。
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