102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.534
腸内環境を整える発酵性食物繊維の働き④
◇健康のカギを握る腸内細菌による発酵!
前回までの記事では、食物繊維と、生活習慣病リスクとの関連やがん、死亡リスクとの関連も明らかになってきたことを解説してきました。
今回から、腸にいい成分を増やすという発酵性の食物繊維について解説していきます。
現在研究者の中で注目を集めているのは腸内細菌による食物繊維の「発酵」です。
ここでいう発酵とは、食物繊維が腸内細菌によって分解されることを指します。
これまで、食物繊維の機能を考える際の分類は、「水に溶けるか、溶けないか」ということ(物性)によって分けられることがほとんど。
その理由は、水に溶けない「不溶性食物繊維」には便のかさを増やし、腸内の有害物質の排出を助けるという特徴があり、また、水に溶ける「水溶性食物繊維」には糖の吸収をゆるやかにしたり、脂質の吸収を抑えるという特徴があるからでした。
ところが、炭水化物の発酵で増える短鎖脂肪酸の機能が明らかになってきたことにより、物性よりも「いかに発酵させるか」に着目する研究者が増えてきました。
これからは高発酵性か低発酵性か、つまり腸内細菌が利用できるかどうかが重視されるようになってくると考えられます。
一般的に水溶性食物繊維のほとんどが腸内細菌によって利用される“発酵性”の食物繊維です。
一方、植物の細胞壁を構成するセルロースなどの不溶性食物繊維の多くは“非発酵性”です。
ただし、不溶性食物繊維がすべて非発酵性ではなく、中には米ぬかや小麦の外皮、トウモロコシ、ライ麦、オーツ麦などに含まれるアラビノキシランのように、不溶性であっても腸内細菌によって発酵されるものもあります。
こういった食物繊維の有用な機能を見逃さないためにも発酵性・非発酵性と分類することは重要なのです。
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