102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.532
腸内環境を整える発酵性食物繊維の働き②
◇日本人の食物繊維量は圧倒的に足りていない
「日本人は食物繊維が足りていない」といわれていますが、実際のところどれくらい不足していると思いますか。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」における成人の1日の食物繊維の目標量は男性が21g以上、
女性が18g以上。
一方、令和元年の国民健康・栄養調査によると、日本人成人の1日当たりの食物繊維摂取量中央値は18g(男性18.9g、女性17.1g)。
この数字からはそこまで不足していないように見えます。
でも、「まだまだ足りていないとされる理由が2つあります。
まず、1つ目の理由は、そもそも目標量が十分ではないということです。
米国やカナダでは、生活習慣病の発症率や死亡率との関連を示した疫学調査などをもとに、成人の食物繊維摂取目安量を24g/日、できれば14g/1000kcalと定めている。
日本人の目標量もこれを参考にしているのですが、当時の日本人成人の摂取量中央値が13.7g/日(平成28年「国民健康・栄養調査」)と24gから大きくかけ離れていたため、いきなりそんなに増やせというのは現実的ではないと、中間値を目標量としたにすぎないのです。
生活習慣病の予防効果を期待するなら1日24gはとっておきたいので、まだまだ足りていないのが現状です。
2つ目の理由は、食物繊維の測定法にある。
2018年以降、食物繊維の測定に新たな方法が加わり、白米など一部の食品で食物繊維量が以前より多く算出されるようになってしまったことにあります。
そのため、国民健康・栄養調査における食物繊維摂取量の数値が以前の測定法より大きく出るようになりました。20歳以上の食物繊維摂取量(男女中央値)は、平成29年の調査では13.9g。どう考えてもそこから日本人の食事内容が大きく変わったわけではないので、摂取量が増えたのではなく数字の上で増えたように見えるだけでしょう。
今の量で満足せず、もっと意識してとる必要があります。
学んだことを、日々の生活に工夫していかに取り入れていくかが大切です。
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