102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.501
◇大気中のマイクロプラスチックが肺や痰からも発見、その問題点
近年、海洋汚染源としてその問題が注目されているマイクロプラスチック。
大気中にも検出され、さらに肺や痰からも発見されていることを前回、紹介しました。
環境汚染の研究を行っている早稲田大学創造理工学部の大河内博教授は、新宿の空気中に実際にペット、ポリプロピレンやポリスチレンなどのマイクロプラスチック(以下、マイクロプラ)を検出している。
目に見えないほど小さく軽い大気中のマイクロプラは「食べ物、飲み物など経口吸収や、空気の吸気吸収という経路から体内に入るが、健康リスクとして懸念されているのが吸気からの暴露なのです。
ブラジルでは剖検した20検体のうち13検体の肺組織から粒子状のポリプロピレンやポリエチレン(粒子サイズは5.5μm未満)が見つかったという報告がある(J Hazard Mater. 2021 Aug 15;416:126124.)。
中国では呼吸器疾患患者の痰から20〜550μmのマイクロプラが合計21種類検出された(Environ Sci Technol. 2022 Feb 15;56(4):2476-2486.)。
ある程度大きいマイクロプラならうがいや鼻洗いで除去できるが、それ以下の粒子は肺にまで入り込むということを示している。
重大な問題でもある。
また、大気中マイクロプラは屋外だけでなく室内にも存在する。室内空気からの吸入量をマネキンを用いて実験した研究では、1m3あたり2個から6個、合成繊維の洋服に多いポリエステルが多かったという(Sci Rep. 2019 Jun 17;9(1):8670.)。
マイクロプラの健康への影響に関する研究は始まったばかりだが、繊維状のマイクロプラが肺でアスベスト(石綿)と同じように損傷をもたらす可能性も十分考えられる。
また、プラには素材の性能を高めるための添加剤が含まれる。大気中で有害な有機物や重金属が付着し濃縮されている可能性も。マイクロプラは有害物質の運び屋となる可能性があります。
さらに微細なナノサイズ(1mmの1万分の1未満)になると、細胞膜を通過し、肺から全身に回る可能性も。
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