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脳科学的栄養学No.1471

  • 3月18日
  • 読了時間: 5分

脳パフォーマンスは“眠り”で決まる!自分だけの快眠リズムの見つけ⑬

 ◇命を守る眠りのサイン――その「いびき」、実はSOSかもしれない


「大きないびきをかく」「朝起きたときに頭が重い」

そんなサインに心当たりがある人は、ちょっと立ち止まってほしいのです。

日中の強い眠気に加えてこれらの症状がある場合、もしかすると体が“助けて”と訴えているのかもしれません。


その原因のひとつとして考えられるのが、閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)という病気です。


日本では、軽症も含めると約2200万人もの人が潜在的に抱えていると言われています。

決して珍しい病気ではありませんが、放っておくと高血圧・心筋梗塞・脳梗塞など、命に関わる病気のリスクを高めてしまうことがわかっています。

「ただのいびきだから大丈夫」

「朝の頭痛なんてよくあること」

そう思ってしまいがちですが、OSAは気づかないうちに心身をむしばみ、長い目で見ると死亡率を上昇させる可能性もあるのです。


このシリーズでは、OSAが体にどんな影響を与えるのか、そして今どんな治療法があるのかを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

あなた自身のために、そして大切な人のために――“眠りのサイン”を見逃さない力を、一緒に育てていきましょう。


◇気づかれにくい“静かな病気”――実はとても多い睡眠時無呼吸症


軽症まで含めると、睡眠時無呼吸症の患者さんは日本で約2200万人。

不眠症と並んで、とても身近な睡眠障害のひとつです。

この病気は、名前のとおり眠っている間に呼吸が止まってしまうのが特徴です。

呼吸が止まると体は「息ができない」と判断し、眠りの途中で何度も目が覚める“中途覚醒”を引き起こします。


本人は気づかないことも多いのですが、睡眠の質は大きく下がってしまいます。

睡眠時無呼吸症には、まれに脳の指令がうまく働かない「中枢性」もありますが、ほとんどは気道が物理的にふさがるタイプです。

これが、よく耳にする**「閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)」**です。

では、なぜ気道がふさがれてしまうのでしょうか。


眠っている間、重力の影響で下あご(下顎骨)が後ろに下がりやすくなります。

さらに、のどの奥にある軟口蓋や、舌の付け根である**舌根(ぜっこん)**が落ち込み、空気の通り道である気道をふさいでしまうのです。



こうして空気の通り道が狭くなると、

「いびきが大きくなる」

「呼吸が止まる」

「苦しくて体が目を覚ます」という悪循環が起こってしまいます。


一般には「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という名前で知られていますが、実はこの呼び方は少し古いものになっています。


太田総合病院記念研究所・太田睡眠科学センター所長であり、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医でもある千葉伸太郎先生によると、医学の世界では“症候群”から“障害群”へと名称が整理され、現在はOSA(Obstructive Sleep Apnea disorders)=閉塞性睡眠時無呼吸障害群という表現が正式なものになっています。


このOSAの中には、成人の閉塞性睡眠時無呼吸と小児の閉塞性睡眠時無呼吸が分類されています。

つまり、同じ「無呼吸」といっても、大人と子どもでは原因も特徴も少しずつ違うのです。

この記事では、最新の医学的な整理に合わせて、名称をOSAで統一して解説していきます。


読者のみなさんが混乱しないよう、できるだけシンプルに、そしてやさしくお伝えしていきますね。

睡眠中に呼吸が止まっても、そのまま命に関わることはありません。

苦しくなると体が反射的に呼吸を再開するためです。


ただし、そのたびに眠りが浅くなってしまうため、深い睡眠がとれなくなるという問題が起こります。

その結果、慢性的な睡眠不足に陥り、

「いくら寝ても眠気が取れない」

「日中ぼんやりしてしまう」

といった状態が続くようになります。



仕事中に居眠りしてしまう人も少なくありません。

実際、睡眠時無呼吸症の人は交通事故を起こす確率が全ドライバーの平均の2.6倍、OSAのない人の約7倍にのぼるというデータもあります(Am Rev Respir Dis. 1988 Aug;138(2):337-340.)。


これは、眠りの質が悪いことで集中力が大きく低下してしまうためです。

医療機関で治療を受けているOSA患者は約70万人ほどですが、治療が必要とされる“中等症”の潜在患者は約900万人。

さらに軽症まで含めると、実に約2200万人にのぼると推計されています(Lancet Respir Med. 2019 Aug;7(8):687-698.)。


つまり、日本人の6人に1人以上が、程度の差こそあれOSAの可能性を抱えているということになります。


特に高齢者ではその割合が高く、山梨大学が介護認定を受けていない83~95歳の高齢者を調べたところ、約69%が中等症から重症のOSAだったという報告もあります(Front Aging. 2022 Oct 14;3:965199.)。

「年齢のせいで眠いのだろう」と思われがちですが、実はOSAが隠れているケースも多いのです。


OSAは、多くの人が思っている以上にとても身近な病気です。

次のような症状に心当たりがある人は、OSAの可能性があるため、特に注意が必要です。

•   いびきが大きい、または不規則

•   寝ている間に呼吸が止まっていると言われた

•   朝起きたときに頭が重い、スッキリしない

•   日中に強い眠気がある

•   集中力が続かない


「いびきがうるさいだけでしょ」「よく眠れないのは年齢のせいかな」

そんなふうに軽く考えてしまう人も少なくありません。


でも、OSAは決して“ただのいびき”ではなく、放っておくと心臓や脳にも負担をかける病気です。

だからこそ、まずはどんな病気なのか、どんなリスクがあるのかを正しく知ることが大切です。

そして、必要だと感じたら、早めに医療機関で相談することをおすすめします。

早く気づき、早く対処することで、睡眠の質も、日中のパフォーマンスも、そして健康そのものも大きく守ることができます。



 
 
 

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