脳科学的栄養学No.1470
- 3月16日
- 読了時間: 4分
脳パフォーマンスは“眠り”で決まる!自分だけの快眠リズムの見つけ⑫
◇不眠に悩むなら「昼寝」は味方ではなく敵になることも
高齢になると、「早寝」に加えて、長い時間を布団の中で過ごす“長寝”も問題になります。
「健康づくりのための睡眠ガイド2023(高齢者版)」では、床上時間(布団にいる時間)は8時間以内を目安にするよう示されています。
布団の中で眠れないまま長く過ごしていると、脳は「ここは眠れない場所だ」と学習してしまいます。
すると、ますます寝つきが悪くなるという悪循環に陥るのです。
かつて理想とされた「8時間睡眠」には、実は明確な根拠がありません。
むしろ高齢者が無理に8時間眠ろうとすると、かえって健康リスクが高まることがわかっています。
8時間以上眠る高齢者は、7時間未満の人より将来の死亡リスクが高いという報告もあるほどです(BMJ Open. 2016 Feb 17;6(2):e008119.)。
昼寝は“短く・早い時間に”。ただし不眠症の人はNG
高齢者は朝が早く、日中に自由な時間が多いため、昼寝の習慣がある人も少なくありません。
昼寝自体は悪いものではありませんが、ポイントは次の2つです。
• 20〜30分以内にとどめること
• 15時までに済ませること
30分以上眠ると、脳が深いノンレム睡眠(徐波睡眠)に入りやすくなります。
すると、夜に必要な深い睡眠が削られてしまい、夜間の眠りが浅くなるのです。
ただし、ここで大切なのは――
不眠症の人は昼寝をしてはいけないということ。
短時間の仮眠でも、夜の眠気が弱まり、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒が悪化します。
日中に少し眠くなっても、夜の睡眠を取り戻すために、できるだけ起きて過ごすことが大切です。
夜中に何度も目が覚める…その裏に“前立腺肥大症”が潜んでいることも
中高年の不眠には、生活習慣だけでなく体の病気が関わっているケースも少なくありません。
その代表例が、高齢男性に多い前立腺肥大症による夜間頻尿です。
前立腺が大きくなると尿道が圧迫され、夜中に何度もトイレへ行きたくなります。
これは治療が可能な病気ですが、日常生活でできる対策もあります。
夜間頻尿を悪化させないための生活ポイント
● 就寝前の水分は控えめに
夜の水分摂取が多いと、当然ながら夜間の尿量が増えます。特に寝る前の飲み物は少なめに。
● アルコールとカフェインは“利尿コンビ”
ビール、ワイン、コーヒー、緑茶などは尿量を増やすため、夕方以降は控えるのが賢明です。
● 塩分のとり過ぎにも注意
塩分が多いと体が水分をため込み、特にふくらはぎにむくみとして現れます。
夜になるとその水分が血流に戻り、尿として排出されるため、夜間頻尿の原因に。
● 夕方の軽い運動が効果的
ウォーキングやスクワットなど、下半身を動かす運動はむくみの解消に役立ちます。
結果として、夜の尿量を減らすことにもつながります。

薬の副作用が眠りを妨げることも
降圧剤、甲状腺の薬、抗がん剤など、治療に必要な薬が不眠の副作用を持つこともあります。
「薬を飲み始めてから眠れない気がする…」
そんなときは、まず薬の説明書を確認してみましょう。
ただし、薬は必要があって処方されているもの。
自己判断で中止するのは危険です。
主治医と相談し、薬の種類や飲むタイミングを調整してもらうことが大切です。
眠れなくても、昼間が元気なら“不眠症”ではありません
これまで紹介してきた対策を試しても、なかなか眠りの悩みが改善しないこともあります。
そんなときは、無理に我慢せず医療機関を受診することも選択肢に入れてほしいのです。
専門家によれば、受診の判断基準はとてもシンプル。
「自分が困っているかどうか」
慢性不眠症の診断基準では、症状が3カ月以上続くことが条件とされています。
しかし、短期間で悪化する「短期不眠障害」もあるため、1カ月でも生活に支障が出ているなら受診してよいのです。
“眠りが浅い”だけでは不眠症とは限らない
一方で、睡眠時間が短かったり、中途覚醒や早朝覚醒があったりしても――
日中に不調がなければ不眠症ではありません。
・日中の眠気がない
・集中力が保てる
・生活に支障がない
こうした状態なら、睡眠の質は十分に保たれている可能性があります。
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠時間の目安を“6時間以上”としていますが、これはあくまで一般的な目安。
必要な睡眠時間には大きな個人差があり、6時間未満だからといって不眠症とは限らないのです。
不眠症の診断で大切なのは、
「眠れない」+「日中の不調」
この2つがそろっているかどうか。







































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